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ジオン注射

ジオン注射(ALTA療法)とは

内痔核も3度まで進行すると、手術でしか治すことができませんでした。しかし2005年からはじまったジオン注射によって、注射だけで3度の内痔核を退縮させることが可能になりました。主な成分はミョウバンとタンニン酸を混合させたもので、ミョウバンによって痔核に炎症を起こさせて繊維化させ、また、患部への血流が止まることで内痔核を退縮させ、直腸粘膜に固定する効果があります。ただし対応できるのは内痔核のみです。 ジオン注射は1つの内痔核を4つのブロックに分けて、それぞれに対して注入する角度、深さ、注入量などが正確に決まっており、特別な訓練を受けた医師のみが施術できる治療法です。 切開しないため、治療による痛みや、患部からの出血がほとんどない低侵襲の治療で、効果も持続的です。健康保険も適用されますので、一定以上に進行した内痔核の治療法としては標準的なものになりつつあります。 当院の医師も、しっかりと訓練を受けた上で臨床経験を豊富に積んでおりますので、安心してご相談ください。

内痔核について

痔核はいぼ痔ともいい、便秘による強いいきみや、すわりっぱなしの姿勢などによって肛門付近に負担がかかり、肛門を保護している静脈叢が鬱血し、いぼのように腫れてしまったものです。内痔核は静脈叢の鬱血が肛門の直腸側の粘膜で起こり、いぼ状に飛び出したもので、重症度によって4度まで分類されており、軽症のうちは痔核が肛門から脱出しても自然に元にもどりますが(2度)、やがて指で押さないと戻らなくなり(3度)、ついには脱出しっぱなしで戻らなくなります(4度)。

内痔核について

日帰りで受けられるジオン注射療法(ALTA療法)

ジオン注射は、これまで手術しか治療の道がなかった3度以上の内痔核を、日帰りの注射のみで治すことができる、画期的な治療法です。注射によって、痔核への血流が減少し、だんだん痔核事態が退縮していき、ついには直腸粘膜に癒着固定されることで、内痔核をほとんど完治させることができます。また手術と異なり術創の痛みや出血リスクもほとんど無く、内痔核の症状として、出血があった場合も、注射後数日で出血が治まっていくという特徴もあります。

ジオン注射療法の治療

麻酔をおこない、痔核上部、中央、下部の粘膜の下、さらに中央の粘膜に注射を打って行きます。治療時間はおよそ30分で、その後リカバリースペースでしばらくお休みいただいき、ご帰宅となります。

効果の現れ方

1治療直後から数日

内痔核への血流が減少して、退縮が起こり始めます。それによって脱出の程度が軽くなってきます。内痔核の症状として出血があった場合も数日で出血が止まります。

21週間~1ヶ月

内痔核が退縮し、周辺で痔核を支持していた組織も縮小していきます。それによって内痔核は元位置の直腸粘膜に癒着し固定されます。それによって脱出も止まります。

31ヶ月以降

内痔核の様々な症状が落ちつき、肛門周囲の腫れも解消していきます。

ジオン注射の流れ

1当日

排便の後、麻酔をします。その後ジオン注射となります。麻酔は鎮静剤と局所麻酔または仙骨硬膜外麻酔で行います。治療時間は30分ほどです。 治療終了後も麻酔の効果が残りますので、30分程度リカバリースペースでお休みいただいた後、帰宅となります。当日は安静にしてお過ごしください。 なお、当日はご自身での自動車や二輪車、自転車などの運転は禁止となります。ご家族の方に送迎していただくか、公共交通機関をご利用ください。

2翌日

状態の確認のため、ご来院の上診察を受けてください。内痔核や肛門とその周辺の状態を診て、必要があれば軟膏などを処方します。

31週間後

1週間後の診療となります。術前と現在の内痔核の大きさを比較します。この際の状態によって、その後の通院の頻度を決定します。

41~3ヶ月後

個人差はありますが、ほとんどの場合1~3か月で痔核が退縮し、直腸粘膜に癒着・固定するため、脱出や出血といった症状が無くなります。

ジオン注射療法の副作用報告例

治療当日 血圧の低下、下腹部の痛み、吐き気など
治療翌日 肛門部に違和感が出ることがあります ※数日で解消していきます
1週間程度 注射した部分の粘膜の硬化 ※ほとんどは自然に解消していきます
1~3週間 一時的な炎症により発熱することがあります。その際には内服薬を処方します
1か月~1年 排便異常あらわれた場合、受診してください

治療後のご注意

ジオン注射の場合、特に入院の必要はなく、日帰りで治療が完了し、切開などを行いませんので、痛みや出血のリスクもまずありません。しかし、薬の力で人工的に炎症を起こして内痔核を退縮させる治療ですので、副作用のリスクがまったく無いわけではありません。医師の指示をしっかりと守って術後をお過ごしください。

治療後の排便に関して

治療の当日から排便は可能です。ただし、いきむ時間を含めて5分程度で排便を終わらせ、まだ便が残っている感覚があっても無理に出そうとしないでください。 内痔核の症状で出血がおこっていた場合、数日で出血は減ってくることがほとんどですが、少量でもしばらく出血は続きます。また1~3か月後に出血がおこることもあります。 便が出ない、便の量が極端に少ないといった排便異常が起こった場合は、すみやかに当院までご連絡ください。

入浴

治療当日はシャワーのみでとどめてください。浴槽につかるのは翌日受診後から可能になります。

食事

治療から3週間は、唐辛子やワサビなどの香辛料やカレーなどの辛い食べ物は控えてください。またゴマやイチジクといった小さな粒の種がある食物も刺激になりますので控えてください。

飲酒

医師の許可が出るまでは、お酒を控えてください。

お仕事

デスクワークなど、腹筋に負担のかからない事務作業などは翌日から可能です。重い物を持ち上げるなど身体に負担のかかる仕事は医師の許可が出てからにしてください。

日常生活

二輪車や自転車などは肛門に負担がかかるため、治療後1週間は控えてください。長時間のデスクワークなどでは、浅く腰掛けて20分おき程度に立ち上がって歩くなどで、お尻に負担がかからないようにしてください。長時間の運転も同様に避けたほうが良いでしょう。

痔を再発させないために

正しい排便習慣

  • 便意があったら我慢しない
  • 必ず朝食を摂り、排便をすませて出かける習慣をつける
  • 排便は5分以内ですませて長くトイレでいきみすぎない。
  • 便が残っている感じがしても、無理に出し切ろうとしない

食生活

  • 食物繊維の多い食品を積極的に摂る
  • 水分はこまめに補給する
  • 激辛の香辛料など刺激物を摂り過ぎないようにする
  • 温かい飲み物や常温の飲み物を撮る
  • お酒は適量を守り飲み過ぎないようにする

その他

  • 身体を冷やさないように(特にお腹や足腰)
  • 適度な運動を毎日行うことを習慣づける
  • 夏でもシャワーだけではなく湯船に浸かり身体を温める
  • 同じ姿勢を長時間続けることを避け、こまめに休憩し身体を動かす
  • 適切に睡眠を取る。なんらかのルーティンを作りストレスを早めに発散する

治療費用について

ジオン注射 20,000円前後(健康保険3割負担の場合)