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肛門周囲膿瘍

肛門周囲膿瘍とは

肛門周囲膿瘍は、何らかの原因で肛門内部の小さな穴の中で化膿がおこり、周辺の組織内に膿のたまった袋状の膿腫を作っている状態を言います。
普段から下痢の多い方や、お酒をよく飲んで軟便の方などに多い疾患です。
膿腫に膿が溜まっている間が肛門周囲膿瘍ですが、膿の量が増えてくると、出口を求めた膿が周辺の組織内をトンネルのような瘻管を作って進み、やがて皮膚を突き破って排膿されると、瘻管は自然治癒されずそのまま残り、痔ろうとなります。

原因

一般的には、肛門の歯状線の中にある小さな肛門陰窩という穴の中に便が入り込み、内部の肛門腺が細菌感染を起こすことで化膿し、膿が肛門周辺の組織に溜まった膿腫を作ることによります。その他の原因としては、クローン病や幼児期の痔ろうが原因となることもあります。

痔ろうについて

症状

肛門周辺で脈動するような激しい痛み、熱感、腫れといった化膿性疾患の特徴的な症状があらわれます。肛門の前にできたか、後にできたかでもことなりますが、時に尿もでにくいほど腫れて高熱がでるようなケースもあります。

検査方法

問診、視診、触診などから痔ろうとの診断は可能ですが、当院ではさらに肛門超音波検査によって、膿瘍の位置や大きさ、瘻管の有無などを正確につきとめて行きます。肛門超音波検査は医療用のゼリーを塗ってから肛門に指と同程度の細いプローブ(超音波の発受信器)を入れて行う超音波による画像検査です。この検査によって得られた正確なデータから、患者様それぞれに適した治療を行います。

治療法

治療法は、保存的療法と手術的療法の2種類があります。症状が軽度の場合は、保存的療法として、抗菌薬を処方し、炎症による化膿を鎮めて膿腫の縮小をはかります。
一方、痛みが激しい、高熱がでているなどの場合は、切開して排膿するなど手術的療法を検討します。

切開排膿術

膿腫の大きさや、肛門に対してどの位置にあるか、痛みはどの程度か、緊急性があるか、患者様の生活背景といった要素を総合的に判断して、麻酔方法を決めて切開を行います。
切開も単に膿腫まで切り開いて排膿すれば良いというわけではなく、将来瘻管のできた部分を切開する痔ろう根治手術の可能性などを考慮して、メスを入れていくことが大切です。
当院では、長い痔ろう治療の臨床実績をもとに、そうした面まで十分配慮して、患者様に最適の切開を行っていきますので、安心してご相談ください。
なお、肛門周囲膿瘍は、保存的療法、手術的療法のどちらを選択しても、将来痔ろうが発生する可能性が高く、複雑化しないうちに手術によって根治させることが大切です。